《MUMEI》 理由はよく分かんねーけど‥、生まれてすぐに、オレは施設に預けられた。 知ってるのは、自分の名前だけ。 親の名前なんか知らない。 ‥知りたくもない。 オレを捨てた、親の名前なんか。 『林檎君、こっちで一緒にご飯食べない?』 『‥いらない』 母親代わりの保母が何人かいたけど、あんまり人とは関りたくなかった。 関わるのが、恐かった。 だから、独りでいる方が落ち着けた。 友達なんて、全然いなかったけど‥寂しくはなかった。 部屋の隅で、遊び回るヤツらを見ながら、正直──鬱陶しくて仕方なかった。 前へ |次へ |
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