《MUMEI》

「では、玄関までお見送り致します☆」

意気揚々と、ナツメ君は私の手を引いて歩き出す。

その手が、あったかくて──優しくて。

放したくない、そう思っていたら。

ギュッ、と思いの外強く握り返されて、ビックリした。

「ナツメ君‥?」

「お嬢様はもう、僕のものですから☆」

「ぇ‥っ」

思いっきり顔が赤くなるのが、分かった。

「──では、お気をつけて行ってらっしゃいませ。お帰りをお待ちしております☆」

「は‥はいっ、行って来ます──」

ゆっくりと離れる、手。

──ちょっと寂しい。

ヌイグルミのナツメ≠抱き締めて、キラキラと光るイルミネーションの色を眺めて歩きながら──私は楽しかったパーティーの事を思い出していた。

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