《MUMEI》

***

「──やるじゃん、ナツメ」

「ぇ、ぁ──コウキさん☆」

「僕も頑張らないとだな。ナツメにまけていられないからね」

いつもより気合いが入ってるらしいコウキさん。

僕は、まだ残ってるお嬢様の温もりを逃がさないように、強く手を握り締めた。

「明日も──お嬢様、お帰りになられますかね?」

「ぁぁ、──きっとね」

そう言って笑うコウキさんは、どこか楽しげで。

僕も、早く一人前の執事になりたいと思う。

お嬢様に、最高のひと時を過ごして頂けるように──。

***

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