《MUMEI》

『‥広い‥』

家に入ってまず思ったのは、それだった。

狭い施設の部屋よりも、ずっと広く思えた。

それに‥。

何か、あったかく感じた。

とか、思ってたら。

『とーさん、かーさん♪』

奥から、4歳位の女が走ってきた。

『胡桃、お兄ちゃんよ』

『にーちゃんっ? やったぁ!』

『‥‥‥‥‥‥‥』

『ねーねー、なまえおしえて?』

『‥リンゴ』

『リンゴ? じゃあ、リンゴにーちゃんってよぶねっ』

『リンゴはやだ』

『じゃあ、にーちゃん♪』

『‥おれはにーちゃん≠カゃないけど』

『でも、にーちゃんはもうかぞく≠セもん♪』

『‥かぞく‥』

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