《MUMEI》

『そっ。だから、にーちゃんはクルミのにーちゃん♪』

『‥にーちゃん‥』

ずっと独りでいたオレにとって、

『にーちゃん』

って言葉は新鮮だった。

まさか、妹が出来るなんて思ってなかったし。

だから、嬉しかった。

親父もお袋も、凄く優しくしてくれた。

だけどオレ達は、ほんとの家族じゃない。

だから、何かと反発ばっかしてた。

『林檎、夕飯何がいい?』

『‥いらない』

『食べたいものあったら言って? 何でも作って──』

『うるさいっ。いらないっていってるだろッ』

部屋に閉じこもっては、お袋を困らせてた。

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