《MUMEI》

『‥‥‥‥‥‥‥』

もうその頃は、秋の終わり頃で‥

『‥寒‥』

風は刺すみてーに冷たくて、だから‥ジャンパーのフードを被って、両手をポケットに突っ込んで歩いてた。

並ぶ家から洩れてくる明かりに、楽しげな笑い声に、あったかそうな料理の匂いに、どうしようもなくイライラした。

‥またオレは、独りになった。そう思ったら、無性にムカついて‥転がってた小石を、思いっきり蹴飛ばした。

それは電柱にぶつかって、小さな音を立てて跳ね返った。

『‥‥‥‥‥‥‥』

寂しい。

それだけが、だんだんデカくなって‥、何か‥泣きたくなった。

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