《MUMEI》

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そんな荒んだ生活を送る加奈子の心の隙間に、一人の男がつけ込んできた…。



ある夜の客の一人に過ぎなかったその男は、50代の会社社長と名乗っていた。



名を"萩原"といった。



萩原は加奈子に高級な食事を馳走し、高価な服も買い与えた。



初めは加奈子も恰好の獲物を得たと樮笑んでいたのだが、そんな仄黒い感情はすぐに払拭されてゆくことになる…。



萩原の優しくいたわるようなセックスは、普段相手をする客のように苦痛を感じることは無く、寧ろ心地良くも思えた。



会って話をすれば、いつも萩原は聞き役に徹し、気が付けば加奈子は時を忘れて一方的に喋り続けていた…。

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