《MUMEI》

『──さ、帰ろ。一緒に』

オレとクルミを真中にして、お袋と親父はそれぞれ、オレ達の手を握った。

オレは、お袋とクルミに両手を握られて──何かちょっとハズかった。

でも、めちゃめちゃあったかった。

こんなに誰かの手があったかいなんて、思った事なかった。

『‥母さん』

『ん?』

『‥ごめん』

そう謝ったら、お袋は苦笑した。

『なーに言ってるの、林檎は謝る事ないでしょ』

『‥ぇ』

『林檎に独りで抱え込ませちゃったのは、母さん達なんだから』

『‥けどオレ‥』

『寂しい思いさせてごめんね』

『母さん‥?』

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