《MUMEI》 先生の恋人?「──ぁ、またチョコシロかけてる」 ──昼休み。 屋上に来たら、 先生がいた。 先生はチョコシロのチューブを持ったまま、 あたしを見上げて溜め息をついた。 「佐原──‥お前またスカート短くして‥」 「いいじゃん、あたしこの方が好きなんだもん。てゆーか先生ウザイよ」 「お前なぁ、これでも俺、生徒指導なんだから注意しないとだし。それにお前、気ぃつけないとさらわれるぞ?」 「大きなお世話ですよ〜だ」 「──で‥お前、飯は」 「コンビニのパン。先生にも半分あげる」 「ぉ、気前いいなぁ」 「違うよ、残すと勿体ないし」 「?」 「む‥っ、女の子は色々大変なんです」 「大変、なぁ──」 「先生ちゃんと分かってるの?」 「まぁ、教師だからな」 そう言って笑う先生。 名前は、 春日井詩郎。 あたし── 佐原千代子の、 初恋の人。 前へ |次へ |
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