《MUMEI》

左目が涼しいことに違和感がある、直さなければ、


手首が痛い。
ロープが巻き付いている。これは抜けられない巻き方だ。

溜息。
面倒臭い。

意識はあった。包帯で目隠しされてタクシーに乗せられた。
「ちょっと、いるんだろう?帰るから離せ。」

「僕は、貴方を愛しています。」
沖島には光る刃物が握られている。

「狂ってる。愛?笑わせるね。」

「与えられたんだ、貴方に。僕は生まれ変わった。
でも僕が貴方を見続けても一度だって届かない。
愛してるのに!
どうして他の人間を受け入れるんですか!

僕を見てください
僕だけを……」
沖島に何を言っても無意味だ。コイツ自分で何したか分かってない。

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