《MUMEI》

『──親父』

『ん、どうした林檎──珍しいなぁ、父さんの部屋に来るなんて』

親父は、ぶきっちょなオレの代わりに作ってくれてたプラモを置いてから、オレに向き直った。

『相談か?』

『‥クルミのヤツ──』

『ん、胡桃とケンカでもしたのか?』

『‥ちげー』

『‥?』

『アイツ、オレの事兄貴って──』

『良かったじゃないか』

『‥ぇ』

『林檎もとうとう兄貴デビューかぁ』

『‥親父‥?』

何でそんなに嬉しそうなのか、その時は分かんなかったけど‥、兄貴って呼ばれるのは──満更でもない気がした。

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