《MUMEI》

クルミは、オレを他人とは思ってない。

お袋も、親父もそう。

そんな3人といると、初めっから家族だったみたいな感じがする。

オレはたぶん、不幸なんかじゃない。

幸せなんじゃないか、って思う。

「スー君、リンゴジュース持って来ましたよ♪」

「‥ん」

さっきよりは‥だいぶマシになってきたかな‥。

起き上がって、ミオからグラスを受け取る。

リンゴジュースを飲みながら、思う。

サンタなんて、信じちゃいない。

けど──もし、サンタがいるなら。

オレはもう1つだけ、欲しいもんがある。

素直になれる心が欲しい。

わがままかも知んないけど──。

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