《MUMEI》

「先生、そろそろ戻んなくていいの? 5限あたしらのクラスの現国じゃん」

「? うおっ、ヤバいヤバい‥」

「先生‥生徒に指導されてどうすんの」

呆れて言ったら、

先生は何でか嬉しそうに笑った。

「佐原も先生やりたいか?」

「ぇ?」

何であたしが先生なんか──。

「ムリムリ。あたし頭悪いですから」

ミニスカ埃を払いながら言ったあたしに、

先生は──

また笑った。

「まぁ、頭も大事っちゃ大事だけど、一番大事なのは、──ここ≠ネ」

そういって先生は、

ドン、

と心臓の位置を叩いて見せた。

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