《MUMEI》

何言ってんだろ、

先生‥。

「俺だったらさらうかもな──」

「は!?」

有り得ないから‥。

「バ‥バッカじゃないの?」

「そう言いながら赤くなってるのはどうだろうなぁ」

苦笑しながら、

先生は窓辺に凭れた。

オレンジ色の教室に、

先生とあたしの影が伸びる。

「佐原──」

「?」

「夕焼け、って詩──知ってるか?」

「夕焼け‥?」

そんなタイトルの詩を、

中学の時に習った気がする。

何か、

よく思い出せないけど‥

習った、

って事は覚えてる。

でも──

何でいきなり‥?

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