《MUMEI》 風呂場昔、旦那様と入った、離れの風呂場もかなり広かった。 …が。 高山家の別荘の風呂場は、更に広かった。 「じゃ、先に髪と体洗おうか」 「あ、はい」 大さんに言われて、俺は洗い場に移動した。 秀さんも、無言で付いてきて、俺は二人の間に座った。 「何か、すみません」 「いえいえ」 「呼んだのはこっちだからな」 二人は笑顔を向けてくれたが、やはり何となく申し訳なかった。 「それに、これで屋代を堂々と無視できる」 「ハハ…」 (そんなに嫌いなんだ) それから俺達は三人で湯船に入った。 ちなみに、他のメンバー 特に、祐・柊・頼の三人は、俺に近付きたいが、近付けない… そんな、感じで、たまに視線だけを感じていた。 「田中君田中君」 「何ですか?」 俺は、手招きする大さんに顔を近付けた。 「ああ見えて、秀、祐希君嫌いじゃないんだよ」 「え!?」 「ん?」 (ヤバっ…) 隣に秀さんがいるので、俺は慌てて口を手で覆った。 「兄貴、また田中君困らせてんのか?」 「違うよ、ちょっと、昔の話をね」 「…ふーん。あ、俺夕飯の支度の続きあるから先に出る」 前へ |次へ |
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