《MUMEI》 昔話秀さんが上がった後、再び大さんは口を開き 昔 まだ、屋代さんが仲村さんと付き合っている事を知らなくて ただ、親友の関係だと思っていた頃 秀さんは、屋代さんを気に入っていた事を教えてくれた。 秀さんは中学時代サッカーをやっていて、その繋がりで、屋代さんの事を聞いた事があったらしい。 「基本的に秀は、祐希君みたいな人間は好きなんだよ。 ただ、…」 「志穂さんが好きなんですよね?」 俺の言葉に、大さんは一瞬動揺した。 (…何だ?) 秀さんが志穂さんを大事にしている事は、誰が見ても明らかだった。 「うん」 そう言う大さんの表情は どこか、複雑だった。 「何よりも、大事な、…妹だからね」 「そうですね。俺、妹いないからわかりませんけど… 本当に、皆仲良いですよね」 妹どころか、家族を知らない俺には理解できない世界だった。 (ちょっと、羨ましいかな) 「君も、入ってるよ。祐希君もね。 だから、母さんは君達を呼んだんだからね」 「…屋代さんはともかく、俺は関係無いですよ」 「多分母さんはそう思ってないけどね、さ。出ようか」 「? …はい」 前へ |次へ |
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