《MUMEI》 「どんな詩だったか、覚えてるか?」 「〜〜〜‥忘れちゃったよ、3年も前の話だもん」 そう言ったら、 先生は夕焼けを見つめながら話し出した。 「電車の中で、若者と少女が2人座っていた。そこに、老人が押し出されてきた。少女は立って、席を譲ってあげた」 「──ぁ、そんな事書いてあったよね」 「2度目も同じように、少女は席を譲った。でも──」 「でも?」 「3度目は立たなかった」 「何で?」 「さぁ、何でだ?」 「なっ‥いきなり課外授業‥?」 「──佐原ならどうするかなぁ、と思ってさ」 前へ |次へ |
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