《MUMEI》

ふわふわした、亜柚乃の長い髪が、あたしは好きだ。
そんなことを考えながら、自分の硬い髪をいじる。
無駄にストレートで、じゃまだ。
それでも伸ばしてるのは、亜柚乃に


「おそろいにしよう?」


と言われたから。
ふと、シャーペンをとめて亜柚乃を見た。

ぼんやりと、窓の外を眺めている。その瞳は、うすく緑に揺れていた。
なぜか、深い湖の底を思い出した。

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