《MUMEI》

「あたし‥?」

「佐原がもし、その少女の立場だったら──どうする?」

「ぇ?」

あたしが、

同じ立場だったら。

「‥あたしは──‥」

あたしは‥

どうするんだろ?

譲ってあげられるのかな‥。

「佐原?」

「──っと‥」

「じゃあそれ、宿題な」

先生は笑って、

あたしの肩を軽く叩いて言った。

「答え出たら、教えてくれよな」

「ぇ、マジでやんなきゃなの‥? ていうかあたしだけ宿題増やさないでよ──」

「強請じゃないけどな、勿論」

「〜〜〜〜〜〜‥」

そんな笑顔で言われたら、

断れないじゃん‥。

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