《MUMEI》 監禁休日の午前。明枝は入浴中。 湯船につかり、ゆったりとリラックスしていた。 思い出したように、今朝ドアのポストに投函されていたビラを、濡れないように見た。 『探偵』 ビラには、浮気調査や人捜しなど、詳しい内容が書かれていて、探偵募集の詳細も記載されていた。 「ふう…」 明枝はまだ19歳。女子大生だ。一人暮らしだが、近くに住む優しい兄貴に生活を助けてもらっている。 そのためアルバイトを始めても、嫌になるとすぐに辞めてしまう。 最近も、セクハラ上司の脳天をパイプイスで殴って解雇になった。 明枝はビラを鏡の下に置くと、軽く伸びをした。 ピンポーン。 チャイムが鳴った。明枝は愛らしい顔を玄関のほうに向けた。 「タイミング悪いな」 ピンポーン。 「はいはいはい」 彼女は仕方なく風呂から上がった。 ピンポーン。 「うるさいなあ」 明枝はバスタオルで軽く髪と体を拭くと、受話器を取った。 「はい」 「宅配便でーす」 男の声。 「すいません、今お風呂入ってたんで、2分待ってもらえますか?」 「2分も待てません。車持って行かれちゃいますよ」 「服着るから、少し待ってて」 「じゃ、また明日来まーす」 明枝は怒った。 「ちょっと待ってよ!」 彼女はスリムなボディにバスタオルを巻くと、スリッパも履かずに玄関に走った。 念のため外を確認。宅配便のユニフォーム。間違いない。明枝は勢いよくドアを開けた。 「あら」男は30歳くらい。明枝がバスタオル一枚なので、照れ笑いした。 しかし明枝は怒り顔。 「ねえ、あなた、わざとらしいことはやめなよ」 「わざとらしいこと?」 「入浴中なんだからさあ、体拭いて服着る間に2分はかかるでしょう?」 詰問する明枝を無視して、男は荷物を玄関に置いた。 「ここにサインください」 「話終わってないんだけど!」 「車持って行かれたらどうします?」 ここは2階の端。ちょうど車の姿が見えない位置だ。 「お風呂上がったばっかりのときに、あんなこと言ってせかされたらさあ、こういう格好で出るしかないでしょう?」 「ここにサインください」 バン! 明枝は受取書を叩いた。 「だからわざとでしょ。こういう格好で出させるために?」 「それは考え過ぎですよう」 「あなたの名前は?」 「サインください」 「名前聞いてんだけど!」 明枝は怖い顔で睨んだ。しかし男も真顔で凄む。 「お嬢さん。車持って行かれたらお金請求しますよ8万円」 明枝は納得いかなかったが、仕方なくサインした。 「フルネームで」 「わかってるよ、いちいちうるさいなあ」 今が初夏だということを思い出すと、明枝は、受取書とボールペンを返すときに言った。 「はい五月蠅」 男は笑うと、いきなりスプレーを出した。 「え?」 プシュー! 「あっ…」 一瞬にして力が抜けた。 男は明枝の腕を掴むと、もう一度スプレーを顔面に噴射。 「やめて…」 明枝は気を失い、玄関に倒れてしまった。 バスタオル一枚のセクシーな姿で、無防備にも仰向けに倒れてしまった明枝。 男は怪しい笑みを浮かべて明枝を見る。とびきりの美少女だ。 「生意気娘が。たっぷりとかわいがってあげる」 男は明枝を抱きかかえてベッドに寝かせると、大の字にしてタオルでベッドに縛り付けた。 慣れた手つきで猿轡をかます。準備完了。明枝の顔を叩いて無理やり起こした。 「ん?」 明枝は、今置かれている状況を知り、泣き顔で暴れた。 「んんん!」 「俺生意気な女大嫌いなんだよね」 「んんん!」 「ごめんなさいって言ってんの?」 「ん」 明枝はプライドを捨ててかわいく頷いて見せた。 「ダメ、許さないよ」 「んんん!」 「まずはバスタオルを取ってあげるね」 「んんん!」 明枝はもがいた。 「裸は恥ずかしい?」 明枝は必死に頷いた。男は楽しそうだ。明枝は恐怖に身が縮んだ。 次へ |
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