《MUMEI》 愛は会社を救う(37)だが今、彼女の瞳の奥には、僅かな動揺の欠片すら見出すことができない。 「あなたの主観的な意見には、全く興味が無いわ」 私は自らの無力さに打ちひしがれる。もう自嘲する以外に術は無かった。 「それとも」 今度は、わざと卑屈な笑みを浮かべてKに顔を近付ける。 「私のやり方が気に食わないのは、初めての男に対するキミの嫉妬か?」 それでもKは冷め切った目のまま、男の浅ましい言動を冷酷に黙殺した。 そしてやにわに、すっと身を遠ざける。 「いいわね。今回は上品なやり方で進めてちょうだい。有効なサンプルとして、オーナーにリポートできるように」 ストレートの長い髪を翻すと、Kは再び黒いシルエットとなって路地へと溶け込んで行った。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |