《MUMEI》

「じ‥自分で食べなよ、あたしが食べれる訳ないじゃん」

「佐原も嫌いなのか? ニンジン」

「ち、違うけど‥」

ていうか、

そういう事じゃないんだって。

先生鈍過ぎるよ‥。

「ん?」

「先生さ、何でニンジン嫌いなの?」

「何となく、味が──なぁ」

プリンを掬いながら、

先生は苦笑した。

ニンジンが嫌いとか──

そういう所、

やっぱり子どもみたい。

「佐原は昼何食べたんだ?」

「ぇ、あたしは──またパンだけど」

「それだけでよく持つよなぁ」

「いいよね──先生はそういうの気にしなくていいもん」

「そういうの‥?」

先生はキョトンとして、

首を傾げた。

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