《MUMEI》

今、

あたしのポケットには、

先生からもらったアメが1つ。

教科書を読む番が回ってくるまで、

あたしは先生の目を盗んでは──

ブレザーのポケットに手を入れて、

アメを手の中で転がしてた。

いつもなら、

すぐ封を切って口にいれるんだけど。

先生がくれた物だ、

って思うと‥

勿体なくて食べれない。

「──佐原、次の所から」

「───────」

「佐原ー、聞こえるかー?」

「ぇ‥、はいっ聞こえてます‥」

立ち上がりながら、

ポケットに突っ込んでた手を出して教科書を持ち上げた。

前へ |次へ


作品目次へ
感想掲示板へ
携帯小説検索(ランキング)へ
栞の一覧へ
この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです!
新規作家登録する

携帯小説の
無銘文庫