《MUMEI》 「有毒……?」 文字通りにやり、と斎藤アラタは口元を上げた。 「学習能力皆無だな?」 屋上で言われた、過去のことを思い出し、慌てて手を離す。 「……悪い」 何故此処で謝ってしまうのか考える余裕も吹っ飛ぶ。 「俺にはお前の方が有毒だ」アラタはそう言い残して廃工場の敷地を出て通路へ行く。黒いリムジンがアラタの前に停まった。 かなりの値が張りそうな扉を蹴りあげた。 顔では読み取れないが、相当滅入ってるのがもしれない。 「―――バイト!」 突発的に思い出した。 生活が掛かっているんだ。完全遅刻……。 「はぁ……」 走ったら間に合うかも? どうも斎藤アラタに会うと夢うつつの意識がぼやけた状態になる、足場がまだふらつく。 前へ |次へ |
作品目次へ 感想掲示板へ 携帯小説検索(ランキング)へ 栞の一覧へ この小説は無銘文庫を利用して執筆されています。無銘文庫は誰でも作家になれる無料の携帯・スマートフォン小説サイトです! 新規作家登録する 無銘文庫 |