《MUMEI》

その闇の向こうに待ち受ける"あの駅"…


オレは吐き出したくなるようなプレッシャーと、身震いに襲われた…。



やがて中目黒の駅に、音もなく空の車両(始発電車)が滑りこんでくる…。


ホームにいた乗客達は、ドアが開くや我先に車両に雪崩れこみ、束の間の椅子取りゲームに興じていた。


そんな様子を横目で一蔑しながら、オレは先頭車両の前から2番目のドア脇のスペースに身を潜りこませた。


すぐにドアが閉まり、シルバーの車両は真っ暗なトンネルに向かって、滑らかに加速を始める…。


オレは朝日に照らされる大都会のビル群を車窓に眺めながら、静かに闘志を燃やした…。


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