《MUMEI》 彫りの深い顔立ち…… 翡翠のような瞳…… チャコール色した頭髪… ファッション雑誌から抜け出してきたような見映えのするいでたち…。 小脇に抱えるクリアケースには、ピンク色のウサギのキャラが描かれた『楽しく学べるドイツ語』というタイトルの教本が見える。 心の声「間違いない…! …ヤツだ!…ヤツが現れた!!」 オレの溝落ちに冷たい汗がつたう…。 "あの駅"の乗り換えに於いて、オレは過去幾度となくヤツの後塵を浴び続けてきた。 その男こそ、最強の乗り換えレーサー… またの名を……皇帝…… 音速の貴公子…… ひと呼んで、NOVA ドイツ語講師…… ―――…"ミヒャエル"だった…。 (勿論、ミヒャエルという名は、オレが勝手につけた名前だ。 本当の名前は知らない…。) 前へ |次へ |
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