《MUMEI》

「間もなくぅ〜、六本木ぃ〜、六本木ぃ〜…

…都営大江戸線は、お乗り換えです…。」


車内アナウンスの声とともに、シルバーの車体は減速をはじめた…。


オレはドア脇のスペースから抜け出すと、窓に鼻をくっつけるように立ち、背後の男を牽制した。


ミヒャエルもオレのすぐ後に立ち、見えないプレッシャーを掛けてくる。


―――…フゥー……。


その時、ヤツの鼻息がオレの領(うなじ)を擽った…!


心の声「んあぁぁ〜っ…」


オレは思わず脱力し、情けない声を洩らしそうになった…。


それは日本人であるオレと、欧米人であるヤツの…

 ...
たった20センチの身長差が生む、屈辱的な現象だった。

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