《MUMEI》
金髪、銀髪
 膠着状態が続いていた。
双子はだんだんとイラついてきたのか、顔に浮かべた笑顔が消えていく。
「なあ、リュウタ。いつまでこうしとくよ?俺、そろそろ飽きてきちゃったし」
 すると銀髪のリュウタが「だな〜」と頷く。
「俺も腕がだりぃし」
そして二人は同時に頷いた。
「そろそろ、終わらせるか」
 カチと引き金に手を掛ける音が聞こえた。
 背中越しにユキナがゴクっと生唾を飲み込む音が聞こえる。

どうする

ユウゴは考えた。
 ここでユウゴとユキナが撃ったとしても、ユキナが持っているのはエアガン。
どう考えてもこっちが死ぬ。
いい考えが浮かばない。

どうする、どうする……
「……どうする」
 思わず声に出して呟いた時、パンパンパンパンと連続して銃声が響いた。
 驚きと共にユウゴの手元でパンっと音が響き、反動で手が上に跳ね上がった。
火薬の匂いがユウゴたちを包む。

……ドサッ

目の前で銀髪が倒れた。
「おい?リュウタ?」
金髪が呼び掛ける。
しかし、倒れた銀髪が絶命していることは明らかだった。
「……ハハ。なんだよ、リュウタ。死んじまったのか?だっせー」
 軽く笑った後、金髪は恐ろしいまでに目を見開いた。
「てめえ!!」
「伏せろ!!」
瞬時に反応して、ユキナとユウゴがその場に伏せる。
 その頭上を派手な音と共に銃弾が通り過ぎていった。
 ユウゴは素早く、銃を金髪に向け、引き金を引く。
「……あれ?」
金髪は不思議そうに自分の腹部を押さえた。
「……うわー、マジかよ。撃たれちまった。俺もだっせー……」
 その言葉を最期に、金髪は地面に崩れ落ち、動かなくなった。

 放心状態の二人の耳には荒い自分たちの呼吸だけが響いている。
「ユ、ユウゴ、血、が出てる」
「………え?」
 ユウゴは頬に手を当てた。チリチリした痛みが走る。
いつの間に、怪我したのだろう。
いや、それよりもさっきの連続した銃声らしき破裂音はなんだったのか。
「と、とにかく、あー、そう。こっから出よう」
 ユウゴの言葉に、ユキナはコクコクと頷き、立ち上がる。
「これ、持ってろよ」
 ユウゴは銀髪のそばに落ちていたリボルバーを拾いあげた。
「い、いいよ」
ユキナは銀髪に目をやりながら言う。
「よくねえよ。いつまでもエアガンじゃ、通用しない」
「でも…」
「死にたくなきゃ、持ってろ」
「いらないってば!」
 ユキナは断固として受け取らず、先に行ってしまった。
ユウゴはため息をつき、その場にリボルバーを放り投げた。

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