《MUMEI》

心の声「…なんてことだ……。」


ゆっくり歩いているように見える錯覚…


そして、そこに潜む罠…


ヤツはオレが3歩で進む距離を、僅か2歩しか費やしていない…。


そう…


ヤツとの身長差が生む、オレの決定的な弱点…


それは、足の長さだった……!!



ヤツは、その超ロングストライドを活かして、オレと同じくらいの体格のサラリーマンを難なく右からパスすると、エスカレーターへ続く人波に乗った。

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