《MUMEI》 下りエスカレーターで、ヤツとオレの靴音は、同一のリズムでシンクロしている…。 即ちそれは、階段やエスカレーターのような一定間隔の段差を通過するときは、必然的に同じペースを刻むことを意味していた。 心の声「一定の段差を同じリズムで…!? …そうか!…そうだったのか!」 いくらミヒャエルの足が長くとも、段差を登り降りするときには、歩幅を小さくするしかない…。 つまり"足の長さの違い"によるヤツの優位性は、この場所で完全にスポイルされるのだ…! これこそが、ヤツに勝つための唯一の希望の光だった。 オレは、L字形に連続する下りエスカレーターの一つ目を降りると、心中に閃いたアイデアを実行に移す…! 前へ |次へ |
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