《MUMEI》

ホームの縁には、電車の乗降口を示すマークが等間隔に記されている…。


トンネルの壁面に掲げられた電光広告版には、テレビ朝日の報道番組の宣伝が光っていた…。


3号車の乗降口を示すマーク付近には、その光に照らされるようにして、電車を待つ人々が並んでいる…。


其所は、オレが目指す乗降口だった。


心の声「もう……ゴールは、すぐそこ…だ……。」


オレは残された力を振り絞り、その乗降口に向けてヨロヨロと歩みを進める…。


脇腹が痛く……ヒザもカクカク笑っていた…。


そんなオレを嘲笑うかのように…


エスカレーターを利用して降りてきた乗り換えレーサー達が、容赦なくオレを追い抜いていった……。

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