《MUMEI》

「煉獄はともかく、篝は?」
風呂上がりでまだほんのり肌を上気させたまま、浴室を出てきた。清々しく見える。

「そう、そっちに行ってたせいで迎えの人間が遅れた。対応ミスだ。」
鬼火が頭を下げた。

「篝が意識不明の重体だ。」
紅蓮がアナウンサがすらすら原稿を読み切るように平淡に言う。

「留守電が入ってて、後ろから殴られたようだ。
足が、ヒビ入ってる。」
燈影が足を崩した。

「白縫は今後もっと護衛を付け警戒するように、トラブルが続いても対応出来なければいけない。」
陽炎が説いた。

「足を狙うということは、篝が罰せられていたことを知っていた?」
白縫が思い付いたことを口に出した。

「内通者が?何故篝が狙われたんだろうか」
鬼火が思考を巡らす。

「裏切る意味が無い。無駄だ。外部からの方が我々は圧倒的に確率が高い。」
紅蓮が分析結果を述べる。

「そうだな、これ以上無益な討論は止そう。」
陽炎は横に首を振る。

「じゃあ、解散てことで」
燈影が両手を叩いた。解散という合図だ。

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