《MUMEI》

寒ぃのか、暑ぃのか。

泣きてーのか、怒りてーのか。

痛ぇのか、苦しいのか。

‥何もかも分かんねぇ。

分かんなくなっちまった。

アイツが、側からいなくなっただけで。

アイツがオレから離れていって‥やっと気付いた。

オレは、アイツなしには生きられない。

‥アイツなしには。

「──林檎君‥?」

「‥っ!?」

顔を上げた、その先に。

「オマエ‥」

未桜が、いた。

「捜してて‥くれたんですね」

優しい声だった。

「未桜‥オレ‥」

「ずぶ濡れじゃないですか──。風邪引いちゃいますよ、ほらっ‥」

「未桜‥?」

「良かったです、林檎君に会えて」

「─────っ‥」

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