\人気急上昇/
ケータイ専用オークション《MUMEI》復活のバラッド
「え?」
「板橋最中だよ、ハニー。朝11時前には行かないと売り切れてしまうという、あの板橋区を代表する超人気和菓子だ。君への償いに、僕はあれを買ってこよう。そうしたら僕の罪を許してくれるかい?」
女はしばらく思案するように男の顔を見つめた。果たして男の言う最中が、彼女のようかんに釣り合うものであるかどうか考えている様子だった。
「もし今日中に」
女が言った。
「その『板橋最中』を買ってきてもらえるなら」
男は壁の時計を振り返った。午前10時37分であった。
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