《MUMEI》
始まり
昨日、入学式を終え、新しく始まる生活。とは、言うものの今、そんなことを思っている場合ではない。





今は、遅刻ぎりぎりの危険な時間なのだ!





家から近いとはいえ、がんばってこいで3分程度。仁奈の通う、『綾岡学園』通称『綾学』の登校時間が8時25分。腕についている腕時計を見ると、8時22分。マッハでこいでぴったりの時間。





「やばいよー。うぅ…。何でお母さん、起こしてくれなかったのよ〜。」




過去を振り返っても時間は、戻ってくるわけがなく、ただひたすら、自転車をこいだ。














綾学の校門に着き、時間を確認すると、この時点で24分。




(よっしゃ!最新記録更新!!じゃなくて。早く昇降口に行かないと!!遅刻だと思われる!)




仁奈は、自転車を自転車置き場に置き、長い脚をいかし、一生懸命に走った。













昇降口に着くと、女の先生たちに睨まれた……気がする…。



なんだか、ものすごく気まずくなり、明るく振る舞うようにすることにした。




「先生、ぎりぎりですよね?チャイム鳴ってないし…ね?」




1年生の学年主任の伊達先生がため息をつきながら言った。




「まぁ、セーフってところね。ちゃんと早めに来てくださいね。あと、5回ぎりぎりにくれば、家に報告が行きますからね!大学への推薦を出すか出さないかは、私たち教師が持っているんですからね。その事をよく頭に入れときなさい。わかりましたか?」





(この先生は、苦手だ。てか、生理的に無理だ。)




伊達先生が言い終わった後にタイミングよくチャイムが鳴った。




その時、




「せーんせー!!せぇぇーふ!!あぁぁぁ、ヤバかったぁ。」





1人の男の子が昇降口に走り込んできた。







その男の子が仁奈の今後の学園生活を左右することをこの時はまだ気づくはずもなかった…。

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