《MUMEI》 「ぁぁ、そういえばまだ教えてなかったなぁ」 照れ笑いしながら、 「悪い悪い、忘れてた」 そう言った先生。 可愛いんですけど‥。 「ん?」 「!!‥だ、だから詩の答え──」 「ぉ、そうだったそうだった‥」 先生は、 昨日と同じように夕焼けを見ながら── 「あの少女はな、」 話し始めた。 「簡単に言えば──優し過ぎた、って感じだな」 「簡単過ぎますよ‥」 「老人は、押し出されてきた訳で──座らせて欲しいと思っていたとは限らない。1度目の老人はお礼を言わなかっただろ?」 「ぁ、うん──」 「だから少女は、ちょっと勘違いをしていたかも知れない訳だ」 「勘違い──」 「そう考えると、少女は学校帰りで疲れていたにも関わらず──2度も席を譲っている。流石に3度目は立ちたくても立てなかったんじゃないか、って俺は思うんだけど──佐原はどうだ?」 前へ |次へ |
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