《MUMEI》

「オイ、そろそろ降りる準備しとけ」

「ぁ、はいっ」

「忘れもんすんなよ‥?」

「はい、分かってます♪」

持ってきたのはショルダーだけですし──。

「ぁ、地面近付いてきましたよ♪」

「分かってるっつの」

林檎君は、既に降りる体勢になってます。

「オイ、手」

「ぇ?」

「繋げよ」

「!?」

手を繋いで降りるんですか‥?

「とっととやれ、乗り過ごす気かよ」

「ぁ‥すいません‥」

でも、何だか照れるじゃないですか──。

手を繋ぐって、ドキドキして仕方ありません。

林檎君の手は、いつも大きくて、あったかくて──。

何だか、羨ましくなってしまいます。

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