《MUMEI》

「えっと‥」

どうって‥

いきなり訊かれても‥。

「あたしは‥隣りに座ってた人が動かないから、その子が立つしかなくて──みたいな‥」

「ぉ、確かにそういう解釈も出来るよな」

「で、答えって何?」

「答えはない」

笑って答えた先生に、

ちょっとだけムカついた。

「ないって何ですか、ないって」

「正確には、人それぞれの答え全部が正解、って事だな」

「ぇ‥?」

全部の答えが正解‥?

「それじゃ、何であたしにその詩の事考えさせたの?」

「佐原にも、詩に親しんで貰おうと思ってな」

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