《MUMEI》
別れ・・・
綾・・あのさ。もう俺たちダメなの?本当に謝るから。俺が悪かった。どうかしてたんんだ。」
 
「・・・・・・。」

「頼む、許してくれよ。綾の友達に強引に迫られてさ。やっぱ男だし、誘惑に負けちゃったんだよ。いい訳にしか聞こえないかも知れないんだけど、でも本当に好きなのは、綾だけなんだって。ホントだから。」

「悠也・・・。」

「綾だけしか好きじゃない。このまま別れるのは、イヤだから。」

「私も悠也と別れたくないよ。でも悠也、逆の立場だったらどう?綾が孝史君と浮気したら悠也、私の事許せる?別れたくないなんて言える?」

「綾・・・。」

 言葉に詰まった。綾と孝史が浮気?孝史の奴ぶっ殺してやる!絶交だ。

 だけど綾と何もなかったように付き合えるか?綾の体が孝史と交じり合った姿を想像した。
 絶対にやだ。綾の体は、全部俺のモノだ。誰にも渡さない。触れさせない。

ああ!チキショー。腹が立つやら切ないやら、どううしょうもなく泣きたくなる。

「サヨナラだよ。悠也。もうだめだよ。私達。」

「綾・・・。だめなのか?もう戻れないのか?」

「もう、戻れない」

「待ってくれよ、綾」

「さよなら。もう、電話してこないで。じゃあ。」

ツーツーツー。



―終わった。

 何もかも終わってしまった。

 俺の一番大切な綾が去って行ってしまった。
 

 いいようのない、脱力感と虚無感に押しつぶされそうになり、呼吸が出来ない。胸の奥がきゅっと狭くなり、酸っぱいものが込み上げてくる。


「綾・・・。もう・・浮気なんてしないから・・・」

 誰にそう言うでもなく、そう呟いた俺の声は震え、掠れていた。

 涙が溢れて、景色が歪んでセピア色になっていった・・・・。

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