《MUMEI》

「にしてもさ、何であの詩の事話したの?」

「あれが一番好きだから──だな」

「一番?」

「何か気に入っててさ」

「って事はさ」

「何だ?」

「──先生ってやっぱり、優しい女の子が好き?」

「‥ぇ?」

先生は、

教科書を捲る手を止めてあたしを見た。

「いや、そういう訳でも‥」

「じゃあ、チョコシロみたいに甘い方がいい?」

「──どうしたんだ?」

「ぇ」

「やけに何か──」

「き‥訊いてみただけっ」

やっぱり先生は、

チョコシロがいいのかな‥。

人には興味ないのかな‥。

あたしは──

先生にとって生徒でしかない。

ただの、

生徒でしか。

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