《MUMEI》
廃棄処分
金曜の夜遅く、馬鹿兄貴の佳祐から電話があった
 
『雅治、この前言ってた、処分の件だけど、今から頼むわ、直ぐ来いよな!』
 
一方的に電話が切れた
 
ったく!、好き放題身勝手な人生送りやがって…
 
腹違いの兄、佳祐は、人を人と思わない奴だ
 
親父が残した会社を、4年という短い期間に、何倍もの規模にした、頭のキレる奴だけど…
 
人の心が、欠落してるんだ…
 
…だけど…その馬鹿兄のおかげで、俺も、飯が食えるし…それなりの贅沢も出来る訳だけど…
 
俺は、兄の会社の下請け会社を興し、主に、表沙汰に出来ない業務をしてる
 
情報集めから、債券の取り立て
地上げまがいの事まで
 
別会社なのには理由がある 
トカゲの尻尾切りができるようにだ
 
「……仕事は仕事…
片付けにいかなきゃな…」
呟きながら、車を走らせた

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