《MUMEI》 「よし、今日はこれ位にしとくか──」 先生は椅子から立ち上がって、 夕焼けに目を細めた。 「そういえば佐原、バス時間大丈夫なのか?」 「ぇ、──ぁっ、ヤバッ!」 「何なら送って行くか?」 「!?」 「バス停までならそんなに時間かからないし──」 「いいですっ、何とか間に合いますからーっ!」 あたしは、 半分逃げるみたいに教室を出た。 階段を駆け降りて、 玄関から校門まで一気に走った。 「はぁ‥っ」 危な‥。 ていうか先生‥ いきなりあんな事言って‥。 「‥何考えてんのさ‥」 全然分かんないよ‥。 前へ |次へ |
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