《MUMEI》

「ふぅ──」

ちょっと疲れました‥。

「もうダウンかよ」

「だ‥だってぇ‥」

ダンスなんてした事なかったですし‥ヒール履いた事もなかったですし‥。

それに、こんなドレス着たのも初めてですし‥。

結構重たいんです、これ‥。

「ヒメ」

「な‥何でさっきからずっと呼び方が『ヒメ』なんですか‥?」

「だってヒメだろ」

当たり前みたいに、林檎君はそう言って──頭に被ってる冠を外すと、手首にはめて、クルクルと器用に回し始めました。

「わぁ──」

「ほい」

「!?」

ゎ‥私の頭に乗っかったみたいです‥。

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