《MUMEI》

夕方、美樹の携帯が鳴った 
妹の真樹からだった
 
隣の部屋に行き
美樹に携帯を渡した
  
雅治「妹さんからだよ…」 
美樹「……」
 
ベットに携帯を置き
俺は、隣の部屋に戻った
 
 
受信機からイヤホンを引っ張り出し、耳へ
 
暫くして、美樹が電話をかけた
 
美樹『…もしもし…』
 
真樹『お姉ちゃん、ありがとう、よく、決心してくれたね』
 
美樹『えっ?』
 
真樹『待って、お母さんにかわるから』
 
母『もしもし、美樹、ありがとうね…ほんとに、ありがとう…』
 
泣きながら話す、美樹の母 
美樹…言いたい事も言えずに、適当に会話を終わらせた…
 
出来すぎの結果だな…
 
 
美樹が隣の部屋から出て来た
 
美樹「どういう事なの!」 
激しい感情的な目だった
 
 
雅治「何がだ?」
 
美樹「とぼけないで!」
 
雅治「とぼける?  
そんなつもりはない、何の事だと聞いている」
 
美樹「貴方がした事、全部言いなさいよ!!」
 
雅治「俺がした事か?」
 
美樹「そうよ!!」
 
怒りで身体を震わせてる美樹
 
雅治「お前の子供を中絶させて、」
「手切れ金として、家族に金を掴ませただけだ」
 
わなわなと怒りを顕にする美樹
 
雅治「おふくろさんの病気も、金がかかるし、妹も水商売辞めて、大学に戻れるだろ」
 
美樹…怒りで言葉が出ないようだ
 
雅治「これが、お前の分だよ」

テーブルに500万振り込んだ証明書を置いた

雅治「黙って取っておけ」 
美樹「…人じゃないわね…あんたらは……」
 
 
弁護士を使って、美樹の家族の元へ、金を運ばせた
 
交際してたが、別れる事になったと
 
婚約はしてなかったが、それに近い状況だったのも確かだから
 
手前勝手で申し訳ないが、これで、と…
 
家族に2000万
 
無論、弁護士は、合意の上の話だと思ってるはずだけど……
 
金を受け取った後で言い掛かり付けられても、
こちらに勝算がある
 
汚い?
 
常套手段だよ
 
世の中、そんなものだ
 
美樹「ここから出して!」「警察に行きます」
 
雅治「鍵をかけた覚えはない、」
「服はそこにある、勝手にどこえでも行け」
 
美樹「全部警察に話してやる」
 
雅治「無駄だと思うが好きにしてみな…」
 
「あんたらは、金を受け取ってるんだぜ」
 
美樹「犯罪でしょ!!」
「勝手に子供を……」
 
涙をためながら、睨む美樹 
雅治「証拠がないだろ」
「そもそも妊娠してたのか?」
 
美樹「なっ!」
 
雅治「医師から、ピルを処方されてるカルテは残ってる」
「妊娠した証拠はどこにも無いからなぁ…」
 
美樹「なっ……」
「中絶した記録があるはずよ!」
「そんな脅し…」

雅治「そんな記録は何処にも無いよ」
 
美樹「……」
 
雅治「もう、忘れな」
「今更、家族に金叩き返すからとでも言って取り上げるつもりか?」
 
美樹「……」
 

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