《MUMEI》

「へぇ、嫌いって面と向かって言われたの初めて。
凄く新鮮。

俺の今後の作品の為にも是非好きになってよ」
ルナはなづきの精神を逆なでした。
腹が減ると人格が変わるようだ。

「世界が反転したって、
アンタを赦さない!」
なづきは眼鏡をかけ直す。怨みを吐いたら急に血の気が下りた。
熱しやすく冷めやすい、彼女の数少ない特徴の一つだ。

「何が赦さないのか言ってくれなきゃわからないよ」
ルナの訝しげな顔は見ないようにした。百発殴らないとすっきりしないだろうからだ。

二人は以前にも似たことをした。

……デジャヴだ。

ただ前より一層彼の人物像が浮かび上がり、こんな人間には関わりたくない、という意志が強くなった。

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