《MUMEI》 「ん」 先生は私の手に、 紙パックを置いた。 メロンオレの、 紙パックを。 「ぁ‥ありがと‥先生」 そう言ったら、 満足げに笑って── 先生はあたしの少し前を歩き出した。 「先生」 「ん?」 「メロンパン‥半分食べる‥?」 「──おう、貰おうかな」 「じゃあ、屋上行こっ」 あたしは先生を追い越して、 階段を駆け上がる。 先生は苦笑しながら、 ゆっくり、 一段一段登ってくる。 「先生早くー♪」 「おいおい、そんなに急かすなって」 「先行ってるよー?」 あたしは、 踊場から身を乗り出して、 先生に向かって言った。 先生は相変わらず苦笑したまま、 少し早足で階段を上がって来た。 前へ |次へ |
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