《MUMEI》
プロ級ケーキ
「お前達、志穂のケーキをおまけのように…」

「いいのよ、秀兄さん。手伝って」

「…わかった」


秀さんは、ジロリと主役二人を睨んで志穂さんと台所に入った。


「俺、主役…」

「…別に、ケーキがおまけなんて思ってないもん」


少しすねる主役二人。


しかし


運ばれてきた二つのケーキに、二人の目は輝いた。


「どう、かな?」


志穂さんは、そんな二人に声をかけた。


(すごい)


まだ、食べていないが


その見た目は…


プロ級。


「なぁ、あれ、秀さん手伝った?」

「いや、母さんの手作り。秀さん、お菓子苦手だから」

「あんなの、素人でも出来るんだ…」

「普通の素人は無理だよ」

『あんなの』


それは、飴細工の、バラとリボン。


志貴のケーキには、ピンク


柊のケーキには、青いそれらは


真っ白なケーキに、よく映えていた。


そして、それぞれのケーキに、同じ数の


十七本の、ロウソクが刺され、火が付けられた。


(これは、普通だな)


電気が消えた中で、バースデーソングを皆と歌いながら、そう思った。

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