《MUMEI》

「ははっ、悪い悪い」

「よく笑ってられるよね‥」

何か、

羨ましいよ‥。

「ん、佐原全然食べてないな──」

「ぃ‥今これから食べるんだから」

‥そう言ったけど。

何か、

お腹減ってるはずなのに食べれない。

取りあえず‥

メロンオレ飲もうか‥。

「──ぁ、そういえば佐原」

「‥?」

「前、ほら──補習やった日あっただろ? 今朝信号待ちしてたら、偶然通り掛かった俺の祖母ちゃんが言ってたんだけどな、高校生の女の子が席譲ってくれた、って──」

「!?」

「それ、佐原だろ?」

「‥な‥何で‥?」

「ん、違うのか?」


「違わない、けど‥」

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