《MUMEI》

「はー、なんとか間に合ったね」
「もうみんな伊勢海老のグラタン食べてるよ、全然間に合ってない、スゲー迷惑かけてる」
「大丈夫だよ、大丈夫だって言ってたじゃん」
食堂の建物入ると受付でいたおばさんがちょうど各テーブルにメインの伊勢海老のグラタンを配膳しているところだった。

15席あるうちの俺達の一席以外皆埋まっていて二人固まっていると、助かる事におばさんに笑顔で空席に促してもらえた。




二人ですみませんって謝って、でも遠いとこから来たんだから疲れるわよね、大丈夫ですよって笑顔で言ってもらえた。
聖ちゃんは安堵の表情を浮かべながらもやっぱり申し訳なさそうにそわそわ。

聖ちゃんは人に迷惑をかける事が一番嫌いな真面目な子だから今とってもいたたまれない気分なんだろう。

「早く食べて皆に追いつこう」




俺がそう言うと聖ちゃんは真剣な表情で力強く頷いた。

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