《MUMEI》

「詠子さんって──俳句とか好き?」

「ぁぁ──よく作ってるみたいだなぁ」

「──そっか」

「川柳とかもたまにな」

「それで先生──国語好きなんだ」

「そうだなぁ、たぶん」

「いいな──何か」

「?」

「あたし、そういうの羨ましい」

「佐原‥?」

「あたしのお婆ちゃん、裁縫得意なんだけど──あたしは全然だし‥」

「佐原は裁縫好きか?」

「ぇ」

「裁縫、楽しいか?」

「‥あんまり──」

「俺も苦手」

「先生も‥?」

「お前より、かなりな──」

「ほんとに‥?」

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